2001-01-01から1年間の記事一覧

くだらない存在とくだらなさの実体のための断章

くだらんことだ。どうにも、くだらん。 だいたい少しでも、くだらなくなかったことが身の回りに存在していたことがあったか? そういって言語化したあと、その者のなかのあらゆる事どもがくだらぬものへと堕ちてゆく。 反論することもできる。 だいたい世の…

秋の没落

生きよ堕ちよ。眼 鏡 し て 古 日 記 み る 亥 の 子 か な 小波

田口ランディ、トレインスポッティング、岩井俊二、共感の文学と記録に捧ぐ

東京から客人を呼んでいたりして、連休中は更新どころか日記さえもおぼつかなかった。 近すぎるためにかえって足が遠のくというのはよくあることで、その彼女のおかげで10年かそれ以上ごぶさたになっている場所を訪れることができた。 22日は、広島県戸…

無題

お元気ですか。私は元気です。 どこかの青空の下に笑顔で立っていることを… もう覚えてはいない、同じ流星群を待ちつづけた多摩川べりの3年前を もう気づきようもない、記憶を封印するように、 帰ってきた流星群に目を閉ざした900キロかなたの人間の気持…

草枕の譜を

さあその小さなザックを背負って、歩き出せ。 草枕に夢見、価値観を篩にかけてふたたび己の寝室にザックを下ろしたら、 明日君の精神を私に語れ。 やるせないまでに私を打ちのめせ。 さあ…ビールを振舞おう、そしてこれは君が欲しがっていた仏領印度支那の5…

深夜

生き残った者の告白。 また悲惨な映像がブラウン管に溢れている。事故なのか、テロなのか…その差はあまりにも大きいけれど、あの炎の下で数百人の命が奪われているということに、敏感でいなければいけないと強く思う。想像することが、唯一いまできること。…

機種変更しない

携帯を今の機種に替えてからちょうど一年経った。 改めて眺めてみると少し塗装がとれている所が目につくものの、全体に若々しくやる気に満ちたいい面構えをしている。 思えばいつだって俺に忠実なやつだった。 ほとんど地肌むき出し、手の脂でベタベタ、身も…

わかっていた

私にもわかっていた、自分はやはり上海に帰って小説を書き続けるのだろうということが。(…)さもなければ、私は多くの人の愛を失うことになるだろう。そして自分自身への愛も。創作こそが、私を唾棄すべき凡人たちから分け隔てうるものなのだから。私をボヘ…

つめたいよるに

冷たい夜がくる。寒くはないが、冷たい帳に覆われた世界だ。それは、この月の光のせいでもあるに違いない。長月の語源は「夜長月」だというが、その長い夜に、満月を過ぎてすっかり遅起きになった月が我が物顔で君臨している。旧暦七、八、九月が秋とすれば…

「蝶の舌 (La Lengua de Las Mariposas)」 - 広島シネツイン

「蝶の舌」公式 http://www.asmik-ace.com/Butterfly/index.html スペイン映画。 近ごろなかったくらいに、涙が出て仕方がなかった。あれ、どうして泣いているんだろう、と自分でいぶかしみながら、とにかく腹の底から涙がにじみ出てきた。 * ちょっと調べ…

「二つ玉低気圧の森林」

雨は当分やみさうもない。 彼奴のことを考へたつて、こんな夜には無理ないことです、 だつて彼奴と別れた朝を、好く晴れてゐたと覚えてゐるのだ * 彼奴を尊敬してゐたなんて、 是れつぽつちも思やしませんが、 * 唯、思ふのは、お前は誰? そのときお前は…

やさしさのおわかれ

人に、好きだと言ってもらう。 すてきなことだ。人を好きになるのと同じくらい。 そのとき、生きている喜びを実感したとしても、わるくない。 わるくない感覚だ。 * 前に好きだった人が、遊びに来るという話を、ことわった。 遠距離の彼女を悲しませたくな…

彼の辞世

季節は全然違うが、ある歌について書く。 ねがはくは花の下にて春死なむ そのきさらきのもちづきのころ 西行超有名な辞世の首だ。共感する人も多いだろう。うちの親父までも「いいなあ。そんな死に方したいよ」と言う。 もちろん、僕も好きだ。余韻がいいし…

大事なことかどうかまで決められちゃ

「ガイドブックに振り回される旅批判」というのがある。国内なら『るるぶ』、海外なら『地球の歩き方』といった有名ガイドブックに頼り、特に下準備もしないまま(修学旅行じゃあるまいし…)有名な遺跡とか観光地とかを駆け足でさーっと見て回って、おみやげ…

松本人志のサスケ

「松本人志の“サスケ”」を見た。例の「アメリカンコメディのアメリカ人、つまらんとこで笑いすぎ。アメリカ人を笑わしに行こう」という、電波でやりかけてたやつ。やっとできたんだ。 すごいよ。昨日の「ごっつ」もだけど、松っちゃんワールドはもう完全に突…

繊細ないつわり

作家のデビット・ゾペティが、日本語は小説向きの言葉だと言っていた。繊細なニュアンスをよく伝えると。まあこれは、日本人は昔からよく言ってきた言葉だけど、でも何かで読んだところでは、どこの言葉を話す人も、多かれ少なかれ自分たちの言語は繊細で多…

おほぞらは

旅日記を読み返せばいやでもわかる。 ああ、俺ってあれほどまでにいろんなものを見て、 こんなことしか書けないんだな、って。 そうする限り、僕にとっての世界は凡庸なものにしかすぎない。 それ以上にはなりえない。 だから、言葉が足りないというんだけれ…

奥泉光『鳥類学者のファンタジア』

奥泉光『鳥類学者のファンタジア』。 はまっている。 といって、まだ半分ほどしか読んでいないのだけれど、けっこうよく見る設定(第二次大戦末期のドイツにタイムトラベル)なのに、ほんとにスピード感よくずばっと読ませる。 また、「ピュタゴラスの天体」…

俗悪とださいこと

あなたの俗悪、私の俗悪。 作者の無能力のせいですべてのデザインは出来合いのものだけになってしまっている。 きれいなページをたくさん見るので、ときどきがんばろうかナなどと考える。ださい?ださい? でもふっと思う。 そんなに着飾って、どこに行くの…

小林紀晴の表現

さて小林紀晴という人は毒のある表現者(artist)だ。近ごろ人を指して「毒のある」というと、とかくメッセージ性や時代性があるとかカリスマ的魅力があるといった風にいい意味で文脈化されがちだけれど、小林の場合は素朴な意味で毒のあるアーティストだと…