2001-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「蝶の舌 (La Lengua de Las Mariposas)」 - 広島シネツイン

「蝶の舌」公式 http://www.asmik-ace.com/Butterfly/index.html スペイン映画。 近ごろなかったくらいに、涙が出て仕方がなかった。あれ、どうして泣いているんだろう、と自分でいぶかしみながら、とにかく腹の底から涙がにじみ出てきた。 * ちょっと調べ…

「二つ玉低気圧の森林」

雨は当分やみさうもない。 彼奴のことを考へたつて、こんな夜には無理ないことです、 だつて彼奴と別れた朝を、好く晴れてゐたと覚えてゐるのだ * 彼奴を尊敬してゐたなんて、 是れつぽつちも思やしませんが、 * 唯、思ふのは、お前は誰? そのときお前は…

やさしさのおわかれ

人に、好きだと言ってもらう。 すてきなことだ。人を好きになるのと同じくらい。 そのとき、生きている喜びを実感したとしても、わるくない。 わるくない感覚だ。 * 前に好きだった人が、遊びに来るという話を、ことわった。 遠距離の彼女を悲しませたくな…

彼の辞世

季節は全然違うが、ある歌について書く。 ねがはくは花の下にて春死なむ そのきさらきのもちづきのころ 西行超有名な辞世の首だ。共感する人も多いだろう。うちの親父までも「いいなあ。そんな死に方したいよ」と言う。 もちろん、僕も好きだ。余韻がいいし…

大事なことかどうかまで決められちゃ

「ガイドブックに振り回される旅批判」というのがある。国内なら『るるぶ』、海外なら『地球の歩き方』といった有名ガイドブックに頼り、特に下準備もしないまま(修学旅行じゃあるまいし…)有名な遺跡とか観光地とかを駆け足でさーっと見て回って、おみやげ…

松本人志のサスケ

「松本人志の“サスケ”」を見た。例の「アメリカンコメディのアメリカ人、つまらんとこで笑いすぎ。アメリカ人を笑わしに行こう」という、電波でやりかけてたやつ。やっとできたんだ。 すごいよ。昨日の「ごっつ」もだけど、松っちゃんワールドはもう完全に突…

繊細ないつわり

作家のデビット・ゾペティが、日本語は小説向きの言葉だと言っていた。繊細なニュアンスをよく伝えると。まあこれは、日本人は昔からよく言ってきた言葉だけど、でも何かで読んだところでは、どこの言葉を話す人も、多かれ少なかれ自分たちの言語は繊細で多…

おほぞらは

旅日記を読み返せばいやでもわかる。 ああ、俺ってあれほどまでにいろんなものを見て、 こんなことしか書けないんだな、って。 そうする限り、僕にとっての世界は凡庸なものにしかすぎない。 それ以上にはなりえない。 だから、言葉が足りないというんだけれ…

奥泉光『鳥類学者のファンタジア』

奥泉光『鳥類学者のファンタジア』。 はまっている。 といって、まだ半分ほどしか読んでいないのだけれど、けっこうよく見る設定(第二次大戦末期のドイツにタイムトラベル)なのに、ほんとにスピード感よくずばっと読ませる。 また、「ピュタゴラスの天体」…

俗悪とださいこと

あなたの俗悪、私の俗悪。 作者の無能力のせいですべてのデザインは出来合いのものだけになってしまっている。 きれいなページをたくさん見るので、ときどきがんばろうかナなどと考える。ださい?ださい? でもふっと思う。 そんなに着飾って、どこに行くの…

小林紀晴の表現

さて小林紀晴という人は毒のある表現者(artist)だ。近ごろ人を指して「毒のある」というと、とかくメッセージ性や時代性があるとかカリスマ的魅力があるといった風にいい意味で文脈化されがちだけれど、小林の場合は素朴な意味で毒のあるアーティストだと…